行商人の荷物
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行商人の荷物に紛れての密入国計画は早くも暗礁に乗り上げた。
「関所の人間とは知り合いで、顔を見ればすぐ通してもらえる」
などと商人は言っていたが、 どうやら担当者が替わったらしく 馬車のすぐ隣で揉めている。
「悪いが俺がお前を通すのは今回が初めてだ。 確認させてもらう」
「いえ、無闇に麻袋を開けたり叩いたりしますと 品物がダメになってしまいます」
「ならば品名を述べよ。 以前から申請されている品物と、 今回の積荷に相違がなければ通してやる」
商人が従うべきか悩んでいる様子が 麻袋の中からもうかがえた。
一体何を融通の利かないことをしているのだ。
荷台には他にも荷物があるのだから、 いくらでも誤魔化せるだろうに。
身動きも取れない袋の中、 暑さと息苦しさも合わさって次第にいらだってきた。
しばらくして、 ようやく商人が一つ目の品名を言うが早いか、 自分は全身をバネにしてその上に乗っていた荷物を 力の限り撥ね付けた。
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